その場所にいるという「才能」
何かを成し遂げ、世に出た人の話を聞くと、いくつかの類型がある。
そのひとつは、面白い場所を見つけ出す、ということだと思います。
最近亡くなったルー・リードも、アンディ・ウォーホルがNYに作った有名無名の才能が集まる場所、ファクトリーに出入りするようになり、彼のプロデュースによってベルベット・アンダーグラウンドの伝説的ファーストアルバムが生みだされました。
若き日にパリにわたった岡本太郎は、写真家のマン・レイやロバート・キャパ、小説家のジョルジュ・バタイユなど、そうそうたるメンツと親交を深め、自らの芸術を突き詰めていったといいます。
こうした事例は、枚挙にいとまがありません。
才能が、才能を引き寄せ、大きな磁場となり、さらに新たな才能を呼び寄せる。そこには「勢い」があり、その場にいた者が同時多発的に世に出て行く。
ジョブズが若い頃のシリコンバレーもまさにそんな場所だったのだと思います。
21世紀の日本に、そんな才能を引き寄せる「磁場」はどこにあるのでしょう。
今の時代、それは必ずしもリアルな場所ではなくなっていると思います。
ネットが発達しSNSで空間をこえて、誰とでもつながれる今、「磁場」はいたるところに発生しうるのです。
世に出るかどうかは別にして、まずは自分の考えや思いを発信することが、大切なことなのかもしれません。自分が何者であるのか、それを言表することで同好の士に出会う可能性は格段にあがります。
かつてウォーホルは、「誰もが15分間なら有名になれる時代が来る」と予言しました。
誰もが何かを共有できる「磁場」を作ることができる、そんな時代となった今、その言葉が、より普遍的は意味を持ち始めているのかもしれませんね。